標準貫入試験(技術資料)の特徴
1.標準貫入試験とは
標準貫入試験は、原位置における地盤の硬軟、締まり具合または土層の構成を判定するためのN値を求めるために行います。また、土質の判別や室内試験を行うための試料を採取することができます。
この試験は、ボーリング孔を利用して行うため、我が国のような複雑な地盤条件にも適応する試験として広く普及、定着しています。また、N値をもとに他の工学的性質との関連が数多く検討されており、基礎のための土質調査では標準貫入試験が必ずといってよいほど実施されます。
この試験方法は、JISA1219「標準貫入試験方法」として規格化されています。
2.試験方法の概略
試験は、質量63.5±0.5kgのドライブハンマーを76±1cmの高さから自由落下させて、ボーリングロッド頭部に取り付けたノッキングブロックを打撃し、ボーリングロッドの先端に取り付けた外径51±1.0mm、長さ810±1.0mmの標準貫入試験用サンプラーを30cm打込むのに要する打撃回数を測定します。なお、この試験は主にボーリング孔を利用して行います。以下に試験手順の概要を示します。
3.結果の利用
標準貫入試験から得られる情報(N値、土質)は、まず土質柱状図に整理し、その情報が複数得られている場合には地質断面図にまとめます。地質断面図を作成することにより、構造物の支持層の分布状況や各地層の連続性などを総合的に判断できるため、建設工事などの基礎資料として利用できます。また、N値は多くのデータを基に、様々な地盤物性や支持力との関係が提案されており、構造物基礎の設計にも利用することができます。
4.結果の目安
TerzaghiandPeck(テルツァーギとペック)1)はN値と砂の相対密度および粘土のコンシステンシー、一軸圧縮強さquとの関係は以下のとおり与えています。
(a)砂の場合
N値 | 相対密度 | 現場判別法 |
0〜4 | 非常に緩い(very loose) | 鉄筋が容易に手で貫入 |
4〜10 | 緩い(loose) | ショベル(スコップ)で掘削可能 |
10〜30 | 中位の(medium) | 鉄筋を5ポンドハンマで打込み容易 |
30〜50 | 密な(dense) | 同上、30cm程度貫入 |
>50 | 非常に密な(very dense) | 同上、5〜6cm貫入、掘削につるはし必要、打込み時金属音 |
(b)粘度の場合
N値 | qu(kN/m2) | コンシステンシー |
0〜2 | 0.0〜24.5 | 非常に軟らかい |
2〜4 | 24.5〜49.1 | 軟らかい |
4〜8 | 49.1〜98.1 | 中位の |
8〜15 | 98.1〜196.2 | 硬い |
15〜30 | 196.2〜392.4 | 非常に硬い |
30〜 | 392.4〜 | 固結した |
注)鉄筋はφ13mm
1)Terzaghi,k. and Peck,R.B.:Soil Mechanics in Engineering Practice,John Wiley & Sons,1948.