原位置ベーンせん断試験(技術資料)の特徴
1.原位置ベーンせん断試験とは
ベーンせん断試験は、十字型の羽根(ベーン)をつけたロッドを地中に押し込んで回転させ、羽根によって形成される円筒形のせん断面に沿うせん断抵抗(粘着力)を回転抵抗から求める試験です。この試験には、ボーリング孔を利用して孔底から地中に押し込むボアホール式と、地表から地中に押し込む押込み式があります。対象とする地盤は、軟弱な粘性土地盤であり、一般にN値2以下の粘土、シルト、分解の進んだ有機質土地盤に有効です。また、砂やN値4以上の粘性土に対しては試験の実施が困難なことが多く、試験可能な深さは概ね15m程度です。
粘性土地盤の非排水せん断強さを推定するためのせん断試験方法として、古くから一軸圧縮試験が用いられているが、ベーンせん断試験も各種調査指針、技術基準などに軟弱地盤のせん断特性を求めるための調査方法の一つとして位置づけられている。(この試験方法は、JGS 1411「原位置ベーンせん断試験方法」として基準化されている。)
2.試験方法の概略
ベーンせん断試験は、回転ロッドの先端につけたベーンをボーリング孔底もしくは地表より押し込み、所定の速度で回転させたときの測定最大トルクを求めます。また、鋭敏比を求める場合は、ベーンを10回以上回転させた後の測定最大トルクを求めます。以下に試験手順の概要を示す。
3.結果の利用
この試験は、原理がわかりやすいこと、せん断強さが直接的、かつ簡便に算出できることから、地盤の短期安定問題の検討に世界各地で幅広く利用されています。
4.結果の目安
国内では、原位置ベーンせん断試験によるせん断強さと、一軸圧縮試験から求められるせん断強さがほぼ一致していることが報告されています。